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またわれとこまたわれは、おおまたわれに別れを告げてまたふたりで歩きだしました。
最後にちらりと後ろを振り返ると、おおまたわれが去りゆくふたりの背中に向かって手を振る様子が見えました。
「あんなにおおきいのに、人間には見つからないんだよなあ。不思議だ」
「見えない物を見つけられる人はそう多くないですからね」
またわれは何やら考えています。やがてポンと手を打つと、隣のこまたわれに向かって言いました。
「やっぱりもう少し、人間に接近してみるのはどうだろう?最初はかくれながら、ちょっとずつ近づくんだ」
「危ないからやめといた方がいいと思いますけどね。人間がみんな優しいとは思わない方がいいですよ」
こまたわれは渋い顔をしました。人間によっていらないやつ扱いされたこともあり、彼は人間に対してあまりよい感情を持っていないのかもしれない。またわれはそう思いました。
「ぼくたちもおおまたわれと同じなら、人間には見えないんじゃないだろうか。それを確かめたいんだよ」
「だといいんですが、見えてた場合問題ですよ。どうやって確かめるつもりなんです?」
「うーん、そうだなあ」
またわれはまた少し考えてから、道の端っこへ歩いていきそこでゴロンと横になりました。
「こんな感じで、人の通りそうな道に転がって人間を待つんだ。じっとしていれば、ただのまたが割れた大根だろ?」
「見えてた場合、見つけて面白がる人やスルーする人とかいろいろいるでしょうね」
「うん。見えてないなら全員スルーしていくだろうから、何人か通りがかるのを待って反応を見よう」
またわれは、渋るこまたわれを説得しながら人間が多く通りそうな街道へと移動しました。
自分たちは果たして人間の目に見えているのか、抱いた疑問を確かめずにはいられなかったのでしょう。
こまたわれには近くの茂みで隠れているよう指示を出し、自分は道の端にゴロリと体を横たえて人間を待ちました。
次回へ続く