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【オリジナル創作小説】またわれのたび その26

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【オリジナル創作小説】またわれのたび その25 - あたうる興業【ブログ版】

 

 

またわれとこまたわれが川を眺めてあれこれ考えこんでいると、対岸の茂みから一本のまたわれ大根がひょっこりと姿を現しました。

 

「おや、あんたたちそんな所で何をしてるんだい」

 

「うわっ、またわれ大根だ!」

 

「またわれさん、僕たちもまたわれ大根なんだからそんな驚かなくても」

 

不意に声をかけられ驚いて尻もちをついたまたわれを、こまたわれが助け起こします。そんなふたりの様子を見ていた対岸のまたわれ大根は、面白そうにケラケラと笑いました。

 

「あっはっは、ゆかいなコンビだねえ。少し下流に橋があるから、そこから渡っておいでよ」

 

言われるがままに下流へ移動すると、ツタでしっかりと丸太を組んで作られた橋がありました。対岸へと渡ったふたりは案内をしてくれたまたわれ大根にお礼を言い、改めて自己紹介をします。

 

「やあ、教えてくれてありがとう。ぼくはまたわれ、こっちはこまたわれだよ」

 

「僕たちには橋を作るのはちょっと難しそうだったので、助かりました。ありがとうございます」

 

「どういたしまして。私はね、この辺りではマスターと呼ばれているんだ。どうぞよろしく」

 

 

対岸にいたまたわれ大根・・・マスターは落ち着いた声でそう名乗りました。

 

またわれは、さっき自分たちが渡ってきた橋を眺めています。人間が乗るのは難しそうですが、またわれや小動物くらいなら快適に通れそうなちょうどよい大きさの橋でした。


「この橋すごくいいね!ぼくらが川を渡るのにぴったりだ。マスターがこれを作ったのかい?」

 

「いやいや、これは私じゃないよ。この辺りに住んでいるまたわれ大根の中に、大工仕事が得意なやつがいてね。移動に便利だから、頼んで作ってもらったのさ」

 

それを聞いたこまたわれは、驚いて思わず声を上げました。

 

「我々のほかにも、この辺にはまたわれ大根がいるんですか!?」

 

「いるよ。私はこの森で小さな食堂を開いているんだ。さまよって、腹を空かせて流れ着いてきた仲間に少しでもまともな食事を食べさせてあげたくてね。よかったら君たちもおいでよ」

 

食堂と聞いて、またわれの目が輝きます。隣のこまたわれを見ると、やはりおいしい食事の予感にワクワクと胸を振るわせているようでした。

 

「食事だってさ!行こうよこまたわれ」

 

「そうですね、マスターの食堂へお邪魔しましょう!」

 

 

次回へ続く

 

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