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【オリジナル創作小説】またわれのたび その24 - あたうる興業【ブログ版】
冬の間の住処を整えたふたりは、次に食料を集めることにしました。
「すべてが雪に埋もれてしまう前に、食べられそうな木の実や果物を集めておこう」
「小川で魚を獲って、干物にするのもいいかもしれませんね」
秋の森には自然の恵みがたくさんあって、ふたりがひと冬越すのに十分なくらいの食べ物が見つかりました。
保存がきくように加工して、ウロ穴を少し広げて作った食糧庫の中へとしまいます。
「この森は豊かだなあ。いつか村を作る時にも、こういう豊かな森がそばにあると良さそうだ」
「みんながケンカせずに食べ物を分け合えるくらい、恵まれた場所が見つかるといいですね」
夜が更けてきたので、ふたりはさっそく落ち葉のベッドの中へ潜り込んでみました。
「いい感じに温かいなあ。入り口もドアで塞いだし、これなら冬の間の住まいとして十分だろう」
「明日はもう少しこの辺りを探検してみましょう。おやすみなさい、またわれさん」
翌朝目を覚ましてからうろ穴の家で初めての朝食を済ませ、ふたりは近くの川へ顔を洗いに出かけました。
川の水は冷たく澄んでいて、すっきりと目を覚ますのにはちょうどよい爽やかさです。
「いい川だ。魚もいるし、水も飲めるし冬の間も何かと重宝しそうだね」
「流れている水は凍ることがないそうですからね。ただ、どこかに橋が欲しいなあ」
「川幅が細くなってる所を探して、丸太か何かで作ってみよう」
付近を探して見つけてきた手ごろな大きさの丸太を、うんしょうんしょと引っ張って川へと運びます。
「それっ!」
川へ渡そうとした丸太はしかし、強い水の力によって下流へと流されていってしまいました。
「うーん困ったなあこりゃ。橋をかけるのも、簡単じゃないらしい」
「せめて対岸の木にツタでも結べれば、それを手がかりに渡れそうですけどねえ」
次回へ続く
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