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【オリジナル創作小説】またわれのたび その30

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【オリジナル創作小説】またわれのたび その29 - あたうる興業【ブログ版】

 

長い冬の間に、またわれとこまたわれはウロ穴の家で暮らしながらマスターや他の仲間から様々な知識を得ました。

 

簡単な大工仕事から森の恵みについて、釣りのテクニックや裁縫のイロハなど。

 

皆それぞれに、生きてきた環境の中から得た技を持っていたのです。それらを持ち寄り、小さなコミュニティを作っていました。

 

けれど、そこは普通に人間も住み暮らしている世界。人間の目は常に気にしながら生きなければいけません。

 

「やっぱり人間に見つかるのは危ないからなあ。絶対に人がこなさそうな所っていうと、どんな場所がいいんだろう?」

 

「人の目を気にし続ける限り、我々が伸び伸びと生きるという理想は達成できないでしょうね。もう世界の果てにでも住むしかないような気がしてきました」


「世界の果てならさすがに人間も来ないかなあ。大勢の仲間を迎えるためにも、ド派手にどんちゃん騒ぎできる土地を手に入れよう」

 

ある日またわれとこまたわれがそんな事を話し合っていると、一本のまたわれ大根がウロ穴の家へ駆けこんできました。

 

「おーいまたわれ、こまたわれ!行き倒れてる仲間が見つかったんだ。今マスターのところへ運ばれた。ふたりも来てくれ!」

 

 

知らせを聞いたふたりは、顔を見合わせると素早くウロ穴の家から出てマスターの店へと急ぎました。

 

店のドアを開けて中へ入ると、店内のベンチに寝かされている一本のまたわれ大根が見えました。傍らにマスターが屈みこんで、容体を調べているようです。入ってきたふたりに気が付くと、マスターは立ち上がりました。

 

「ああまたわれさんにこまたわれ。来てくれたのかい、また仲間が倒れていたんだよ」

 

「こういう事はよくあるんですか?」

 

「時々ね。見た感じ少し衰弱してはいるが大きな怪我もないようだし、目が覚めるまで様子をみようか」

 

「じゃあぼくとこまたわれが付き添ってるから、マスターはその間に何か食べる物用意してよ」

 

マスターがキッチンで、手際よく料理を作り始めました。部屋中にぷ~んといい匂いが広がっていきます。

 

その途端、グギュルルル・・・と大きな音が鳴りました。

 

「またわれさん、さっきお昼食べたばかりなのにもうお腹が空いたんですか?」

 

「えっ、いや違うよ!?今のはぼくじゃない!」

 

再度鳴り響く、グギュルルル・・・という大きな音。

 

ふたりがバッと音の方向を振り向くと、どうやら寝かされているまたわれから聞こえているようでした。

 

 

次回へ続く

 

 

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