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【オリジナル創作小説】またわれのたび その29

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【オリジナル創作小説】またわれのたび その28 - あたうる興業【ブログ版】

 

 

「ね、いいアイディアでしょ?今は寒いからこの森で冬を越すつもりだけど、春が来たらまた旅を続けて村作りの土地探しを再開するんだ。いい場所が見つかったら、マスターにも声をかけるよ」

 

「ありがたいね。その時が来たら、この辺りのみんなも連れて村作りに協力しよう」

 


マスターはそう言うと食べ終わった食器を片付けてから、食後のコーヒーを入れてくれました。

 

よい香りのコーヒーを楽しみながら、またわれとこまたわれはコーヒーのお礼とばかりに旅の話をあれこれと語ります。

 

股が割れていたため市場行きのトラックに乗れなかったこと、こまたわれと出会った時のこと、不思議な力を持つおおまたわれのこと。

 

「長く生きたまたわれ大根の中には、魔法が使える者もいる。私も昔会ったことがあるよ」

 

「そうなんだ!すごいや、どんな大根だったの?」

 

「彼は自らのことを、センリと名乗っていた。長く深く生き続け、とうとう千里を見通す目を手に入れたらしい」

 

マスターが何気なく口にしたその話に、こまたわれは思わず椅子から腰を浮かせました。

 

 

「興味深いですね。もしかしたら、村作りのできそうな土地も教えてもらえるかも」

 

「そりゃいいね!自分たちでも村の土地探しは続けるけど、ついでにセンリの行方も探してみよう」

 

良い事を聞いた、とばかりにまたわれが拳を振り上げ飛び跳ねます。興奮するまたわれをなだめるように、マスターがおかわりのコーヒーを注ぎました。

 

「冬はまだ長いから、その間にゆっくり考えて進むべき道を決めるといいよ。定住生活の方法についても、まだ教えられることがあると思うし」

 

「そうだなあ。とりあえずは冬の間ウロ穴に住むことにしたんだけど、村を作るならウロ穴の家だけじゃ物足りないだろうし」

 

「今のうちにマスターや他の仲間から、ちゃんとした住み家を作る方法を学んでおきましょう」

 

またわれとこまたわれは、コーヒーを飲み干してからマスターにお礼を言ってウロ穴の家へと帰りました。

 

新しい仲間との出会いもあり、ふたりとも越冬生活への期待に気持ちが高まっているようです。

 

家へ帰って寝床に潜り込んでも、この日はドキドキワクワクしてなかなか眠れませんでした。

 

 

次回へ続く

 

 

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