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エッセイ「ぼくのお母さん」その5

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その4はこちらです→エッセイ「ぼくのお母さん」その4 - あたうる興業【ブログ版】

 

 私が小学生の頃のお袋の話でもしようかな。の続きです。

 私が小学5年生の時、何故かクラスの学級委員長に任命されたことがありました。それをお袋に話をしたときに、お袋からこんこんと言われたことがあります。

「お前なんかに学級委員長なんか無理だ」

 長時間にわたり無理だ無理だと言われました。お袋が小学生の時の学級委員長の話を引き合いに出して、言われたことがあります。

「私が小学校で消しゴムを忘れたとき泣いていたら、学級委員長のクラスメイトが、そっと消しゴムをかしてくれた。これを使いなと。お前にはそんな優しさは無い」

 今になって私が思うことは、あの当時、私にはそんな心優しい気配りは出来なかったと思う。お袋の言う通りだ。お袋の言うことを聞きながら、ひたひたと泣いていた自分がいた。

 その後、お袋から「言い過ぎた、ごめん」と言われた。ただ、あの時のお袋の言葉が今でも印象に残っていて、それが今の自分に教訓として生きているのも事実である。

 優しさについてのエピソードをもう一つ。

 ある日お袋は、私と妹に「お前たち、これを見よ」と見せたものがある。風呂場の桶に緑色の水が入っていた。それは、金魚の病気を治すための薬が入った桶である。親父が用意したものである。

 あの当時、うちでは金魚を飼っていて、金魚が病気になった。その金魚の病気を親父が治したくて用意したものであった。その金魚は死んでしまった。お袋が「お父さんは、何としても金魚を救いたかったんだぞ」と言ったのを覚えている。

 お袋が言いたかったことは、今になって良くわかる。

 

 さて、話は変えて、お袋のダメダメな部分も書いておこうか。

 ある日、夕方に親父が仕事から帰って来た。そして親父が夕飯は?とお袋に尋ねると、ごろ寝しているお袋はテーブルの上を指さした。そこには食パンが一袋置いてあった。無論、親父は大激怒。その後、しばらく夫婦喧嘩が勃発。それを傍観している私と妹がいた。

 結局、親父が家の近くにある弁当屋で、弁当を買ってきて食したのを覚えている。今思うと、私的にはいい加減な親だなぁといった感想である。

 他にも酷いエピソードがある。

 私が小学校から帰ってきたら、うちら家族が住んでいたアパートの前の私道で、アスファルトの上で寝ている人がいた。お袋である。私はお袋の手を引いて起こそうとするが、とても太っていたお袋を起き上がらせることなど不可能だった。

 おそらく、お袋は酒の飲みすぎで酔いつぶれていたのであろう。その現場を、私はどうやり過ごしたかは覚えていない。とにかく私的には、うつぶせになって路上で寝ているお袋は、行き倒れている人みたいだった。

 まだまだ酷いエピソードがある。

 親父が仕事でいない日曜日のこと。お袋と私と妹で家に居たのであるが、お袋が「死んでやる」としきりに言い始めた。かなり酔っぱらっていたお袋は、家に小学生の私と妹しかいない家で荒れていた。

 さて、私はことが事だけに、親父の勤めている会社に電話して、どうしたらいいか問い訪ねた。すると親父は「おばあちゃんのところに行って、何とかしてもらえ」とだけ指示をした。母方の祖母、つまりお袋の母親の家に行って何とかしてもらえということである。お袋が死ぬ死ぬと言っている状況で家を離れていいのかと親父に言うと「あとはどうなっても仕方ないから、おばあちゃんの家に行け」としか言わなかった。

 私は電車代のお金を持って、妹と二人で家を出た。そして、記憶にある祖母の住んでいるアパートを訪ねた。しかし、そこに祖母は住んでいなかった。数か月前に引っ越したとご近所の人から情報を入手。再び親父に電話で報告し指示を仰いだ。

 親父は、お袋が結婚する前からお世話になっている人のところに行って、何んとかしてもらえと指示を出した。そして、その人のお宅に伺い、家に居るお袋の状況を説明し、その人に家に来てもらい、お袋と話をしてもらった。

 私達が家に戻った時には、お袋は酔いが少し冷めていて、先ほどよりも落ち着いていた感じであった。

 今になって思えば、お袋はアルコール依存症で精神疾患があったと思われる。あの当時、あの時は、私は何が何だかわからなかったが、今の私だったら救急車を呼んで、お袋を精神科の病院に入院させていたと思う。

 一番悪いのは、しっかり現実を見て、対処すべきだったはずの親父だ。

 

 他にもエピソードはあるが、この辺にしておこう。

 

 あたろうでした。

 

その6はこちらです→エッセイ「ぼくのお母さん」その6 - あたうる興業【ブログ版】

その1はこちらです→エッセイ「ぼくのお母さん」その1 - あたうる興業【ブログ版】